★ 【愛と友情のTWO看病】 ★
クリエイター橘真斗(wzad3355)
管理番号101-4666 オファー日2008-09-11(木) 21:55
オファーPC 新倉 アオイ(crux5721) ムービーファン 女 16歳 学生
ゲストPC1 桑島 平(ceea6332) エキストラ 男 46歳 刑事
ゲストPC2 赤城 竜(ceuv3870) ムービーファン 男 50歳 スーツアクター
<ノベル>

〜多分愛、これも愛〜
「桑島おじさんの看病はあたしがする! よっし、一番乗り!」
 バタンと扉を開けて飛び込んで桑島 平の住居に来た新倉 アオイの第一声はそれだった。
「あー、アオイ。頭ガンガンするから静かにしてくれや」
 鍵をかけたはずだというのに飛び込んできたアオイをいつも以上に顔色を悪くした桑島はヨレヨレのパジャマ姿で出迎える。
「あ、ごめーん。 それで、桑島のおじさんはご飯食べてる? パジャマ着替えてる? 熱はある?」
「聞けよ、人の話しをよぉ‥‥まぁ、熱はさっき下がりだしたトコだ。仕事は休みを取ってあるぜ」
 アオイは軽く謝罪をするが、手に持ったスーパーの買い物を揺らしながら桑島を質問攻めにしだした。
 ここまで綺麗にスルーされるともはや何もいえないと桑島は諦めて布団に戻りながら質問の一部に答える。
「ご飯食べてないんだね! それじゃあ、お粥つくるね!」
「いいから、お前は帰れ! 風邪がうつる!」
 危なっかしげに包丁を振りかざすアオイを見て、桑島は命の危険をやや感じながらアオイを外へと放り出すのだった。
 
〜友情を確かめる〜
「おう、あぶねぇだろ?」
 バタンと締め出されるように外に放り出されるアオイを支えた人物がいた。
「あ、赤城のおじさん」
 アオイよりも背も年齢も高い赤城竜は何時もと変わらない赤いジャージ姿で買い物袋を提げていた。
 桑島の見舞いに来たのは誰が見ても明らかである。
「む‥‥赤城のおじさんも桑島おじさんの看病の来たの?」
 パッと離れ、猫のようにアオイは赤城を警戒しだした。
「おう、アオイもそうなら一緒に入ろうや。人手が多いに越したことはないしな」
 そんなアオイのジェラシーなどまったく気づかず、赤城はアオイの手を握り一緒に桑島の部屋に入ろうとする。
 アオイはその手を振り払ってドアの前に仁王立ちした。
「桑島おじさんは風邪をうつしちゃいけないっていっていってたから勝手に入っちゃだめ! というか、看病はあたし1人でやるんだから!」
「おいおい、何かいっていることがおかしくねぇか? スノーもそうおもうよなぁ?」
『ぷいきゅぁ』
「だよなぁ」
 赤城がたずねるとスノーは気の抜けた鳴き声で答え、それに満足した赤城は嬉しそうにスノーを抱きしめる。
「と、とにかく! おじさんは帰ってよ!」
「おいおい、友人の桑島が倒れたとあっちゃオレも退くわけにはいかないな。煮卵の友を無碍にはできない」
「むー、それじゃあ、じゃんけんできめよう! それなら文句ないでしょ!」
「お、いいねぇ。そういう勝負事はオレもきらいじゃないぜ!」
 売り言葉に買い言葉、いつしか二人は桑島の部屋の前で盛大に盛り上がっていった。
「「じゃーん、けーん!」」
「お・ま・え・ら! 部屋の前で騒ぐな! もう、入れ‥‥いいから、入れ‥‥頼むから入って静かにしてくれ」
 赤城とアオイが各々の手を出そうとしたときドアが開き、桑島が疲れた顔で二人を案内する。
 その顔はいつになく青白く、そしてやつれていた。
 
〜看病ファイト、れでぃーごー〜
「予想通り、1人暮らしの男らしい部屋だな」
「ほっとけ‥‥ごほん、ごほん」
「もう、桑島のおじさん無茶しちゃだめだよ! ほら、パジャマ脱いで脱いで」
 桑島に案内されて上がったアオイは早速、桑島の容態を気にしてパジャマに手をかける。
「だ、断固拒否する! セクハラになるから、それ以上ふれるんじゃねぇ!」
 ヨレヨレのパジャマを伸ばしながら、桑島は全力で抵抗をした。
「はっはっはっ、親子みたいでいい姿だな。さて、オレは卵酒でもつくるか。こいつは効くぜ?」
「他人(ひと)事だと思いやがって‥‥自分で着替えるからアオイも大人しくしてろ」
 赤城に笑われた桑島はアオイと赤城をキッチンの方に案内して、そのまま寝室へ着替えに向かう。
「えー。よっし、それじゃあ。あたしはお粥を作るからね!」
 寝室へと向かう桑島の背中を残念そうに見ていたアオイは、襖が閉まると同時にお粥作りに気合を入れた。
 看護ファイトはキッチンから始まる。
「お粥って出汁とってやるんだっけ? 栄養つけたほうがいいから野菜一杯入れた方がいいよね?」
「おいおい、それは雑炊だぜ? でも、桑島にはその方がいいかもな顔も青かったし」
「そうだよねー。赤城のおじさん玉子酒作る前にお酒飲んでていいの?」
「味見だよ、あーじーみ。くぅー、この一杯が効くぜ」
「土鍋あるかな? ないから、片手鍋でいいや。お米いれてー、野菜入れて水入れてー」
「もっと野菜は細かく切れよ。何でジャガイモがはいっているんだ?」
「あ、カレーの材料と間違えた? でもいいよね。料理は愛情ってどこでもいってるしぃー」
 隣の部屋で着替えながら会話を聞いていた桑島は青ざめる。
(今日は俺の命日か? 嫁のところに中々いけなくなったからバチでもあたったんかなぁ‥‥)
 着替え終わった桑島は二人がどんな料理を作ってくるのか布団に潜りこんで震えながら待っていた。
「桑島のおじさん。お粥と思ったけど、結局雑炊になったけどダイジョブだよね?」
「付け合せの玉子酒も出来たぜ」
 襖が開きアオイが我先にと飛び込み、その後ろを顔を赤くして千鳥足になりかけた赤城がついてくる。
「桑島のおじさん震えてる? 熱をはかるよ」
 雑炊と自称された肉じゃがとご飯を混ぜ合わせたようなものを置いて、アオイは(恐怖に)震える桑島の熱をおでこをくっつけた計ろうと顔を近づけた。
「ば、馬鹿やろう! 体温計がそこにあるから手渡せ!」
「おう、これだな。水銀の奴とは桑島らしいぜ」
 ぐるんと体を動かし、アオイの接近を避けて桑島は叫ぶも赤城に体温計を口に咥えさせられる。
「くぅー、あたしだって負けてられない。氷枕かえてくるね」
 赤城に妙な対抗心を益々燃え上がらせたアオイは桑島の氷枕を引き抜きキッチンへと向かっていった。
 ゴトンと桑島の後頭部が布団へと落ちる。
「世話好きな若い子はいいもんだよな? オレも風邪をひいて看病されてみたいもんだぜ」
 がははと桑島を赤城は笑った。
「看病される身にもなってみろってんだ」
 体温計を出しながら桑島は悪態をつく。
 熱は二人が看病に来る前よりも上がっていた。
(「二人の看病で悪化してる‥‥とはいえんなぁ」)
 内心そんなことを思い、桑島は肉じゃがご飯を口にする。
「歯ごたえのある雑炊だ」
 食べた桑島の感想はそれだった。
 
〜嵐はまだ続く〜
「しっかり寝付いたようだ。しばらく様子をみているか」
 玉子酒と肉じゃが雑炊を(半ば無理やり)食べた桑島はそのままゆっくりと眠りについている。
 規則正しい呼吸を繰り返し、赤城が見る限り表情は幾分やわらいでいた。
「帰る前に掃除していこぉー。綺麗な部屋じゃないと風邪もぶり返すもんね」
 寝室から出たアオイは自分に言い聞かせるようにして、居間などをこれ見よがしに片付けだす。
 洗濯ものなど何気に興味心身だったり、奥さんの写真とかアオイにとって興味をそそるものが一杯あった。
 赤城は寝室で桑島を見ているので、キッチンや居間周りを家捜しできるのはこのときだけ‥‥。
 片付けながらもアオイは普段話すだけでは感じられない『桑島 平』という人物を部屋にあるいろいろなものから感じとっていた。
「ふぃ、こんなところかな?」
 自分なりに良くやったと思える片付けぶりにアオイは満足げに頷き、立ち上がる。
「お、アオイは終わったのか? オレは帰るところだぜ。葱も首に巻いておいたから、これで熱も下がるだろうよ」
 赤城が寝室から出てきて買い物袋から桃缶をとりだし冷蔵庫にいれた。
「あたしも帰るよ。やりきるだけやれたし、満足満足。それじゃあ、桑島のおじさん早く元気になってねー」
「また、屋台で飲もうや。桑島」
 騒がしかった看病が終わり、二人は外へと出て行く。
 しかし、まだ騒動は終わっていなかった。
「あ、赤城‥‥葱、首にしめていくな‥‥ぐ、ぐるじ‥‥い」
 桑島の風邪は酷くなったが、翌日気力で職場に復帰したらしい。
 本人いわく、寝るより仕事した方が早くなるとのことだった。

クリエイターコメント長らくお待たせいたしました。
何分、忙しさと調子の悪さもありこんな具合となってしまい申し訳ありません。

二人のはちゃめちゃっぷりと桑島さんの幸薄さを出し切りました。

楽しんでいただければ幸いです。

それではまた運命の交錯する時までごきげんよう。

公開日時2008-10-02(木) 23:00
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